
戦略はミッションに基づく・業務は倫理に基づく
大学ファンドレイジングは、単なる資金集めではなく、大学の存在意義を社会に示し、その使命を実現するための戦略的な活動です。どの分野に重点的に資源を投じるのか、どのようなストーリーで支援を呼びかけるのか──そのすべては、大学固有のミッションに深く根ざしていなければなりません。ミッションを土台に据えた戦略こそが、大学の価値を長期的に高めるファンドレイジングの出発点です。
一方で、実践の現場では常に倫理が問われます。寄付者の意志を正確に理解し、誠実で透明性のあるコミュニケーションを心がけることは、ファンドレイジングに携わる者の責務です。短期的な成果を焦るあまり、誇張した表現や過剰な勧誘に走ることは、結果的に大学への信頼を損ない、支援の継続を難しくします。倫理を守る姿勢こそが、寄付者との関係を長期的に育む基盤です。
「戦略はミッションに基づく、実践は倫理を重んじる」という考え方は、大学ファンドレイジングにおける普遍的な原則といえます。経営戦略の一環として位置づけられるこの分野において、確固たるミッションと揺るがない倫理観を両輪とすることが、信頼される大学づくりの鍵となるのです。